前回のコラムで紹介したように、不動産投資に辿り着くまでに数々の失敗をしてしまった私ですが、ここでなぜ、不動産を始めようと思ったのかお伝えしたいと思います。
私が勤めていた会社は超が付くほどのホワイト企業でした。有休は100%消化、それどころか足りない程。残業時間は1分単位で申請可能で、いつでも休める環境。ノルマもなく、とにかく仕事のストレスが少ない環境でした。
商社や外資系企業のような超高給というわけではありませんでしたが、地方都市ではそこそこの給与でした。妻も看護師としてフルタイムで働き、いわゆるパワーカップル。
私はぬるま湯にどっぷりと漬かり、定年まで勤め上げると信じて疑いませんでした。しかし!そこに超パワハラ上司が登場。このことがきっかけで、私の人生が大きく動きだしたのです・・・。
■セミリタイアを目指していたのに節税用区分を買ってしまう
私は人に嫌われるようなタイプではないと自負していたのですが、そのパワハラ上司からは仲間外れにされたり、ひどいことを言われたりしました。最初の頃は、そのうち終わるだろうと耐えていました。ところが、状況はずっと同じでした。
どうしても我慢できなくなり、「何故そんなことをするのですか?」と2度ほど話し合いの場を設けましたが、「私はパワハラをしているつもりはない。君がそう思うのであれば正します」という返事。結局、全く改善されませんでした(笑)。
その時に、「よし、5年後までに会社を辞めよう」と決心したのです。今振り返ってみれば、その上司がいたおかげで不動産投資を始めるきっかけになり、結果的に脱サラもできたので、感謝しかありません。
その日を境に、「勤め人を辞める方法」を模索し出しました。毎日帰宅後、ネットで副収入について調べました。勤め人を辞めるには、株・FX・ブログ・不動産投資・アフェリエイト・物販等、様々な手法があると知りました。
その中で、私は不動産投資に光を見出したのですが、なぜか最初に、「節税用の区分ワンルーム」を買ってしまったのです(笑)。また出たな、失敗例!という感じですね。
どのような物件かというと、福岡市内の中古区分ワンルームマンションで、利回りは4%台でした。これを聞いただけで、洗練された投資家の皆様なら、「あちゃー」と思わず声が漏れそうです。
このきっかけですが、不動産を始めようと鼻息が荒かった頃、不動産業者が主催する無料のセミナーに行き始めました。おやおや、これは先物取引で失敗した時と同じ流れじゃないか?と思った鋭い読者のあなた、さすがです、大正解!
いわゆる、不動産業者主催のお土産付き無料セミナーで、やり手の営業マンから当時築15年、25平米で1,450万円という物件を購入しました。
この物件を買えば節税ができて、リスクも少ない。福岡市内は地価がどんどん上がっているから、持っていて良し、売っても良しという宣伝文句でした。(トルコリラの時と一緒じゃないか!)
物件の想定収支としては、月々はトントン、税金の還付が毎年20万円程。しかし、実際には保有していた4年間で退去が3回もあったので、大赤字でした。退去が発生すると原状回復の費用もかかりました。
少しくらい節税できたって、結局は儲からないのだと実感しました。4年間保有した後に、1,300万円で売却しました。損切りです。この物件自体が良いとか悪いとかいうより、私の目的にまったく合わないものでした。
こうして、パワハラ上司のいる会社を辞めたくて始めた私の最初の不動産投資は赤字で終わりました。
■副業としての物販はアリなのか?
最初の区分は失敗しましたが、ここで諦めるわけにはいきません。次は一棟物を買おうと、またセミナーに通い始めました。当時は「かぼちゃの馬車事件」のすぐ後と言うこともあり、融資が厳しくなっているタイミングでした。
あるセミナーの懇親会に参加してみると、「いまから始める人は自己資金がないとダメ。買う時期ではなく、お金を貯める時期だ」と言う人がいました。その時の私には自己資金が全くなかったので、お金を貯めようと思いました。
あれこれと調べていく中で、どうやら物販が副業として良さそうだと思い、物販スクールに辿り着きました。スクールは半年間で75万円、月に一回セミナーがあり、半年後には独り立ちしてね、というものでした。
ざっくりとしたスキームは、日本の通販サイト(Amazonや楽天)で仕入れて、アメリカのAmazonで売るというものです。高く売れた分の利益だけでなく、購入時にはクレジットカード等のポイントがつくし、日本で購入した商品をアメリカで売る場合は消費税の還付もあるといいます。
「一つの取引で三重に旨みがある」というのが売り文句です。月一回の勉強会だけでなく、一人一人の専任の講師が付き、SNS上でいつでも質問が可能というサービスもついていました。始めて見ると、何を買ったらいいのかなど、手取り足取り指導してくれました。
物販で一番難しいのは、利益の出る商品を探し出すことです。コンスタントに見つかるわけでもなく、仕入れが一番大変でした。半年継続してみて、ひと月で10万円位の利益を出せるようになりました。しかし、そのためには100万円の売り上げが必要です。
サラリーマンを続けながら片手間でやるには労力がかかりすぎるので、私に向いていないと悟りました。例えば、専業主婦の方が片手間で10万円を目指すという場合には良いのでしょうが、これで会社を辞めてやろう!という自分の目的には合いませんでした。
■一棟物件が欲しい!でも自己資金がない!
ワンルーム投資、物販スクールと小さめの失敗を経験して思ったのは、「やっぱり不動産だ!一棟物が欲しい!」ということでした。しかし、不動産を買う為の自己資金がありません。
我が夫婦はこれまで、「借金は悪」という思考でした。12年前に建てた自宅には頭金を1,000万円入れ、それだけではなく、その2年後には500万円の繰上げ返済をしていました。そのお金を取っておいて不動産投資を始めればよかったです。
ここで普通の人は諦めると思いますが、私はパワハラ上司から一日でも早く逃れたかったので、諦めませんでした(笑)。どうにかして自己資金を作ろうと頭をひねり、以下を実施しました。
- 父親に頭を下げ、200万円借りることに成功!
- 子どもの学資保険を解約し200万円調達
- 更にもう一つの学資保険の契約者貸付で200万円調達
- 大好きなミニ・クーパーを売却し100万円調達
- 母親に頭を下げ300万円借りることに成功!
- カーローンスキームで500万程調達
こうしてかき集めた自己資金を元に、1棟目はオーバーローン、2棟目は自己資金100万円で、とうとうアパートを購入できました。もしかして、このアパートも失敗なの?と思ったあなた。結論から言うと、今のところ大丈夫です(笑)
1棟目の物件は、ネットで問い合わせを入れた会社の営業マンさんから紹介されました。その方とは年が近く馬が合ったので、彼の紹介なら大丈夫!と軽い気持ちで購入しました(本当は軽く決めてはダメです!)。
購入した物件は駅から遠く、立地はあまりよくありませんでした。コロナがあった影響で、半年以上も空室が埋まらない時もありました。しかし!昨年、奇跡的にローソンが物件の目の前に建ち、それからはローソン効果(笑)で退去もありません。
購入してからの1年間で3室も退去し、空室もなかなか埋まらなかったので、またやらかしたか・・・と思いましたが、ローソンのおかげでなんとか安定的に運営できています(笑)。
2棟目はポータルサイトで見つけた物件です。福岡市内ですが、山の上にあったので1年くらい売れ残っていました。利回りが良かったので買ったのですが、結果的に良い買い物になりました。
その後、会社員を卒業するまでの3年間で計8物件を買いました。ところが、8棟目の後、約1年3ヶ月も買えない日々が続きました。この間、新築・築古問わず融資打診を行いましたがどこもNG回答。決算書の内容が悪すぎたのではと推測しています。
明日の最終回では、買えない期間を乗り越えて脱サラを果たし、新たにビジネスを始めたこと等をお伝えします。