5050(ゴーさん)
こんにちは、ひろ*さん。今日はよろしくお願いします。健美家さんに登場するのは4年ぶりでしたっけ。
ひろ*さん
そうですね。前回は2020年、失敗例告白を書かせていただきました。みなさんこんにちは。ひろ*と申します。
参照→築8年アパートの管理会社から届いた「入居者孤独死」の知らせ
今回のテーマは東京に住みながらの遠隔地物件投資についてでしたね。ゴーさんは札幌の物件はもう売ったんでしたっけ?
5050(ゴーさん)
はい。一昨年最後の一棟を売って、もう札幌には物件はありません。ひろ*さんは札幌をはじめ地方でいろいろやられていますよね。今日はその話を聞かせてください。
ひろ*さん
私は今東京、札幌、仙台、富山の4拠点でやっています。主要なのは東京と札幌、仙台はちょっと規模小さめ、富山は木造アパート1個だけなので、メインは札幌と東京ですね。
■ひろ*さんが遠隔地物件を買い始めた理由
5050(ゴーさん)
どうして遠隔の物件を買い始めたんですか?
ひろ*さん
買い始めたのはリーマンショックのあった2008年。SMBCバブルが終わったくらいの頃に勉強を始めて参入したんです。
最初は業者のセミナーに行き始めたんですが、ある業者さんが、たまたまその時に札幌の物件をいっぱい抱えていたんです。そういうところで紹介された物件なので、実は札幌には何の地縁もなかったんですよ。
当時はとりあえず利回りが高ければ飛びついていました。そういう感じでスタートしたんですよ。
5050(ゴーさん)
あの頃買っていた人は、物件がことごとく値上がりしたから、みんなバンバン売って、豪快に成功している人もいますよね。時代の流ればかりはよくわからないです。
ひろ*さん
多分ゴーさんも同じだと思いますけど、時間を味方にするっていう意味では、一歩踏み出して買った事実って大きいと思います。
物件を買わないまま過ごして来たけど、さらに高くなったのを見て、まだちょっと高いから買えない、みたいに踏み出せなくなっちゃうタイプの人もいるじゃないですか。
5050(ゴーさん)
面白そうだと思って実際に不動産を買う人って、世間から見たらかなり少数派ですからね。
ひろ*さん
そうですね。まあどんな物件を買っても、かつては時代が良かったので、リカバリーできない物件でなければ、何を買っても結果的に問題なかったのだと思います。
極東船長さんも「いいものはいつでも高い」っておっしゃるじゃないですか。結局その時代の相対性の中での話なんですよね。
かつて札幌では15%の単身向けワンルームを買う奴はアホだって言われてた時代があったんですよ。私もそう思っていたのですが、今となっては何がアホだったんだろうって感じですよね。現状なら、築20年ちょいのRCで25平米くらいの1Kとか、多分8~9%くらいですからね。
5050(ゴーさん)
今の半分くらいの値段で買えてたわけですよね。
■当時はスルガ銀行のおかげで拡大できた
5050(ゴーさん)
初期はどういう物件を買っていたんですか?
ひろ*さん
最初に買ったのが2DKで5部屋の木造アパート。小さいので、言うほど儲からないんですよね。だからもっと大きい1Kの22部屋のS造の物件を、利回り20%オーバーで買ったんです。それが埋まらなくて大変でした(笑)。
立地はギリギリセーフだったんですけど、3点ユニットなんですよ。それから札幌なのに18平米しかないんです。札幌は感覚的には東京の1.5倍くらいの広さを見ておかないといけないんですよね。
だから引きが悪くて苦戦しましたが、なんとか埋め切って、最後は売れました。結局そういう失敗をしつつ、懲りずに買って、最初の頃は札幌ばかりで3棟くらい買ったんですよね。一回札幌の業者さんで買うと、なかなか他の地域で買いづらくて。
あれがもうちょっと銀行評価の高い物件だったり、スルガ銀行で融資を引いたりしていなかったら、道は違ったかもしれないです。
5050(ゴーさん)
でもそうなると、ルートが決まってきちゃうんですよね。
ひろ*さん
そう。耐用年数が微妙な木造高利回りみたいな物件ばかりになって、そういうのを買い増していくと、与信が債務超過になっちゃいますから。
そうなると東京ではやっていけないですから。だから戦略なく突き進んでいったことによって、いろいろしくじっているんです(笑)。
5050(ゴーさん)
当時スルガ銀行で何棟買ったんですか?
ひろ*さん
結局札幌で3棟、東京で1棟で、4棟買いました。全部個人名義です。2000万~5500万の小さいやつばかりで、総額で言っても2億いかないんですよ。
5050(ゴーさん)
最近もスルガで融資引いているんですか?
ひろ*さん
いや、最近はないですね。遠隔で今でも買ってる皆さんの話を聞いていると、今はSMBCとかりそなといった都銀系や、向こうに支店があって東京にも支店がある第四北越とか、朝鮮系銀行とか公庫を使う感じです。
私の場合は仙台に義理の母を代表にした法人があるので、仙台と札幌に支店がある銀行が使えるんですよ。そういう地銀さんとお付き合いしています。
5050(ゴーさん)
なるほど。だから東京にいても遠隔地で続けられるんですね。
ひろ*さん
そうなんです。普通にやっていたら、もう行き詰まっているんじゃないかと思います(笑)。
5050(ゴーさん)
最近融資が出ているのはスルガとオリックスぐらいで、そこが閉まったらおしまいみたいな雰囲気ですよね。
ひろ*さん
ちなみにまたスルガが開き始めているみたいですね。でも今回は属性をきちっと見ていて、あんまり緩くない感じだと聞いています。私は与信がイマイチだから、そんなの絶対無理だと思ってやりませんけど(笑)。
■地方の銀行を攻略することの難しさ
5050(ゴーさん)
ひろ*さんのところは仙台に法人があるからこそ、札幌で融資を出してくれるんですね。
ひろ*さん
そうですね。仙台に法人の本店があって代表者がいるから、仙台の金融機関と付き合っています。札幌にも支店があるから札幌の物件への融資もOKですって言ってもらいやすいですね。
5050(ゴーさん)
なるほど、遠隔地だから無理っていう話にはならないんですね。
ひろ*さん
逆に、札幌に本店を置いている法人が七十七銀行の支店に行ったりすると、ちょっと微妙かもしれませんね。やっぱり本店とか強いところに行った方がいいと思います。
5050(ゴーさん)
確かに。北海道銀行とかも東京に支店があるけど、全然出さないですからね。
ひろ*さん
そう。私も北海道銀行仙台支店に行ったんですけど、ダメでした。そっちの方がハードルが高そうな感じがします。飛び地になっている支店って、その地域に進出してきた地元企業を支援するっていう建て付けが多いんですよね。
だから多分、北海道銀行であれば北海道の企業がその地域に来たのを支援するところであって、仙台とか地場の企業が北海道に行くための銀行ではないんですよ。
ほとんどの地銀はそういう感じなので、東京に支店があってもほぼやりません。でも東京に複数支店があったりすると、意外とやったりしますね。
第四北越はそうだし、札幌は関係ないけど、香川銀行とか四国系の銀行は、地元では融資を付けるのは難しいから、東京の不動産に融資を出していますよね。そんな感じで、支店がいくつあるかで見分けたりもしています。
5050(ゴーさん)
でも多分、その四国の金融機関でも、僕らみたいな人が四国に投資したいですと言っても、難しいでしょうね。
ひろ*さん
そうですね。例えば北見市の北見信金が札幌に支店を作ったので、札幌の法人で北見の物件は買えますかと聞いても、多分買えないと思います。彼らも地元で融資が難しいから都会で稼ごうという感じかな。
5050(ゴーさん)
地方では人口減っていうものがあるから、なかなか前向きなシナリオを描きづらいですよね。でも投資家にとっては、その裏をついて高利回りを享受するというのもあります。
ひろ*さん
そうですね。それがあるから、みんな遠隔でわざわざ投資するわけですよ。
相場としては東京の方が利回りが低くて、地方の方が高いんですが、昔だったら札幌でRCが10%で建って、東京で新築が7%で建ったところが、今だと札幌が6.5%で建って、東京が5%台という感じで、地域間ギャップが縮まったなと思っています。
今は相対的に東京の利回りは高くなったんですよ。でもこの相場感の中で、やっぱりリスクをとって高利回りで回したい人と、安全に、低利回りでいいから東京で新しいのを買いたいって言う人は必ずいます。
賃貸業の売上って、自分で家賃をガンガン上げない限りは、基本決まっていますよね。上が決まっていて、減る方向にしか行かない。
やっぱり売上を最大化したいから高利回りに行くっていう考えの人は一定数いるだろうし、そういう人は地方に行きがちなんだと思います。
■物件エリアに縁者がいて融資が引けるようになるパターン
ひろ*さん
ところでゴーさんはどうして札幌で物件を買ったんですか?
5050(ゴーさん)
僕は最初は横浜で区分を買ったんです。次はアパートを買いたくなって、横浜だとなかなか欲しい利回りが出なかったのと、そもそも貸したらそんなに自分でやることがないなあと思ったんで、札幌に目を向けたんです。
まあ、スルガ銀行で融資が出やすかったっていうのもあります。僕もスルガがなければ、入り口がなかったですから。
ひろ*さん
あの頃は利回りも高くて、貸してくれる銀行もいろいろありましたが、今は大変ですよね。利回りは低いし銀行は貸さない。これも時代ですね。
5050(ゴーさん)
確かに。ひろ*さん、仙台ではどうして物件を持っていたんでしたっけ?
ひろ*さん
私の妻の実家があるんですよ。たまたま縁があって買えたんですよね。
札幌で3棟買ったあと、仙台で買ったり東京で新築やったり並行して動いていたんですけど、仙台の方はスルガ頼みだろうとずっと思っていたんです。でも義理の母が、融資なら地元の銀行の方がいいんじゃないかと言いだして(笑)。
そういう銀行は、地元の人しか相手にしてくれないから無理だと言ったら「じゃあ私社長になる」と言いだしたんです。もとより借金が大嫌いで、家訓は「借金するな」みたいな家だったんで、びっくりですよ。
結構な借金額だし、連帯債務者になりますよって言っても「老い先短いから別にいいって」(笑)。そこで速攻で法人を作って、銀行いろいろ回ったら地元の銀行で融資が引けました。
5050(ゴーさん)
結果的にラッキーでしたね。その話って、今後東京に住んでいる人も含めて、始めたい人にとってのヒントになるような気がします。地方出身者で、親戚縁者で誰か代表になってくれる人を探そうっていう。
ひろ*さん
親族が代表にならずとも、例えば自分の住民票が実家に置きっぱなしになっているような人が、その実家で法人登記して、お父さんが代表になって、本人もここにいるような形が作れるんだったら、割とチャンスがあると思いますよ。
5050(ゴーさん)
それは例えば父が起業したという体になって、息子が2代目としてもう待ち構えているという状態ですよね。
ひろ*さん
そうそう。そういう建て付けでなら地銀とか信金とかも付き合える可能性はあると思いますね。買いたい地域に支店登記するような形だと、今はなかなか門戸が開きづらいと思います。昔は開いたんですけどね。
5050(ゴーさん)
実態を求められますからね。
ひろ*さん
そこで住民票を移すっていう話もありますけどね。親類の縁を使うとか、少なくともその場にいつでも対応できる縁者がいれば、金融機関さんは安心するはずだから、お付き合いのいいきっかけになるでしょうね。
5050(ゴーさん)
そうですね。本店支店の登記があるのと、その実態があるっていうその2点で、融資対象となり得るかを見ていることが多いようですから。
ひろ*さん
そうそう、飛び道具的な融資の手法もあるみたいですけど、そういうのは市場環境とか金融庁とか、どこか上の方の方向性が変わるとか、いろんな理由で立ち行かなくなるものですしね。
うちも支店登記だけで融資してもらっていた札幌の金融機関があったんですが、やっぱりスルガとか西武信金の事件で金融庁が動いたら、閉じてしまいました。やっぱりそのエリアにちゃんと根付いている何かがある形が、いいんじゃないでしょうか。
ひろ*さんが仙台で物件が買えたのは、親戚縁者が法人の代表になってくれたおかげで融資が引けたからなんですね。このパターンは遠隔地物件投資で大事な部分かもしれません。次回は明日配信です。どうぞお楽しみに!(担当:T)