手頃な金額で買えることから投資対象として注目度の高い築古の戸建。健美家ニュースでも戸建投資の体験談をたびたびご紹介してきた。
しかし戸建投資ならではの難しさもある。安いからと飛びついても、室内の状態が悪く、想定以上にリフォーム費がかかることもある。
戸建投資には、リフォームやDIYの手腕も試されるのだ。そんなリフォームの悩みを軽減できそうな、新たなサービスが登場している。中古戸建の状態に応じて、AIが住むために必要なリノベ項目と費用を算出する「たすリノベ」だ。
全体の費用感を把握できる点が魅力で、サービスの利用料は無料。170戸を超える戸建再生の実績を活かして、サービスが始まった。ベテラン投資家にとっては、リフォームの総額は検討がつくだろうが、初心者にとっては役立つ情報となるのではないか。
サービスを開発・提供している株式会社リノバンクの取締役COO 梅本征吾氏を取材した。
リフォームすべき箇所と予算のセカンドオピニオンとして
「たすリノベ」では、中古戸建+リフォームのトータル価格で物件検索ができるWEBサイトである。コアなユーザー層は、マイホーム購入を考えている人であるため、サイトを閲覧してみると、もともとの戸建の価格がそれなりにするのだが、投資にも役立つ要素がありそうだ。
「これまでの中古戸建を買うプロセスでは、物件は物件として探し、リフォームはリフォームで手配する必要がありました。
特に物件探しの初期では、リフォームにかかる費用がわからず、トータルコストの認識のないまま物件探しを余儀なくされ、いざリフォームする段階で、本当にその工事が必要なのか、工事の価格は妥当なのかがわからないまま工務店と交渉しなければならないなど、戸建の再生にはハードルの高いステップがありました」
これはまさに戸建投資の難しさでもある。なぜ戸建の再生事情に詳しいのか?
「これまで170戸を超える中古戸建を当社自ら購入してリフォームして、マイホームが欲しい方や入居者を付けて、投資家さんに向けて売却をしてきました。この経験から、戸建を再生する際の注意点やリフォームの落とし穴ともいえる盲点があることがわかってきました。
またローコストで対応できるリフォーム屋さんとのネットワークもあり、リフォーム費用を想定しやすいのが強みです」
戸建投資で注意すべき点とは?
「戸建のリフォームでは、想定外のことが時々あります。増築申請がされないまま増築されていて、外見ではわからないものの、よく調査したら、柱が抜かれて傾きが判明したこともありました。
ほかにも配管に問題があったり、傾斜地など地盤の不安定さがあるケースもあり、周辺の事例も調べてみると、地盤沈下しているようなこともありました」
こうした経験から、戸建を購入する際には、『プロフェッショナルな視点』が入ったうえで、リフォームの見積もりをすべきであると指摘する。
「独自のシステムで工事が必要な箇所や当該工事の妥当な価格を、AIを活用して算出することで物件探しをサポートします。優良なリノベーション事業者、瑕疵保証会社、インスペクション会社など、中古戸建・空き家購入に必要なラインナップを全て揃えることで、中古戸建を購入する不安を払拭します」
戸建を所有している人には売却費や賃料を査定するサービスも
同社ではほかに「コダテノバリュー」といった、すでに戸建をもっている人が対象のサービスもある。こちらは地方自治体と連携した空き家の調査、利活用提案サービスだ。
「地方自治体と連携しながら、空き家を実地に調査し、売却・賃貸・除却・修繕など多面的にその経済性を所有者にレポートさせていただくサービスです。
売ったらいくらか、貸したらいくらか、リフォームしたらいくらか、概算をお伝えします。こんなサービスもやっているので、投資家さんに対しては、掘り出し物件が見つかるきっかけにつながるかもしれません」
行政と連携していることで、よりその場所にあった、活用法を提案できるようになった例がある。たとえば接道できる可能性があった場所で、再建築不可物件を接道することで再建築できるようにした例がある。
さらには物件の査定金額から、物件の適正な売り出し価格に変更して売却できたケースもある。
いずれも利用者は無料でサービスを利用できる点がありがたい。利用者が望む場合、オンラインで、個別の相談にも無料で対応してもらえる。そうなると気になるのが、どこで収益を上げるビジネスモデルなのかだが、基本的にはリフォーム会社とサービスの利用者が契約した場合の紹介料である。
直近では、株式会社mignと共同で、リノベーション前の中古戸建ての画像から、リノベーション後のイメージ画像が短時間で生成される仕組みの開発にも着手している。
1枚の戸建の画像から下の写真のように、リノベーションの予算に応じた複数パターンのイメージ画像を同時に出力することができる。リフォーム後をよりイメージしやすくなるのではないか。
戸建投資に興味がある方は、こうした業界の最新サービスもぜひチェックしていただき、投資判断に役立つかどうかを検討していただきたい。