手先の器用さに自信のない人でもカンタンに、コスパ良くできるDIYリフォームの技術を伝える「不動産投資初心者のためのDIYリペア講座」シリーズ。第8回目は「水栓の水漏れ補修」をテーマにお届けする。
シンプルなつくりの単水栓・ツーハンドル水栓
ホームセンターの工具と交換部品で簡単に補修可能
蛇口の先からポタポタと垂れる水漏れや、根本からじんわり滲み出る水漏れなど、ちょっとした水漏れ程度ならば恐るるに足らず。わざわざ業者を手配せずとも、たいてい単純な工具と交換用部品で対応可能だ。
部品もホームセンターの水道コーナーで100円、200円程度で気軽に手に入るものなので、コスパ抜群なDIYと言えるだろう。馴染み深いLIXIL、TOTO以外にもSANEI、KAKUDAIといったメーカー製品を見かけるだろうが、互換性があるので買う部品の種類さえ合っていればOKだ(TOTOはモノによって独自規格だったりもするので注意)。
パッキン等のサイズを示す単語に「呼び」というものがあるが、家庭用の一般的な水栓であれば「呼び13」のものを選べば良い。初心者であれば外した部品をホームセンターに持って行って、見比べて買うのがもっとも確実ではある。
今回はシンプルな単水栓、ツーハンドル水栓の水漏れ補修を想定する。シングルレバー水栓の水漏れの場合は中の「カートリッジ」という部品を交換すれば補修可能だが、価格が高かったり、そもそも廃盤で手に入らなかったりといった場合も多い。そのため、そちらに関しては丸ごと新品に交換するの方をオススメしたい。
まず確認すべきは一体どこから水が漏れているか?
水漏れ箇所ごとの補修方法を解説
では、症状ごとの補修方法について解説していく。いずれの場合も作業前にはまず止水栓(水道の元栓)を閉めるのを忘れずに。水が噴き出してうっかり大惨事にならないように気をつけていただきたい。なお単水栓を例に用いて解説するが、ツーハンドル水栓でも補修のやり方は変わらないのでご心配なく。
(a)吐水口から水が漏れる場合
この場合は、ケレップ(コマパッキンとも)という部品の劣化が考えられる。ハンドル下のナットをモンキーレンチやウォーターポンププライヤーなどの工具で緩めてハンドルを外したあと、本体側から取り出せるコマ状の部品がケレップだ。ケレップをピンセットでつまみ出して新しいケレップに交換し、ハンドルを戻してナットを締め直せば完了だ。
ピンセットで掴んでいるのがケレップ(コマパッキン)だ
(b)ハンドル下のナットから水が漏れる場合
この場合は、ハンドル内のパッキンの劣化が考えられる。まずハンドルの頭のビスを外してハンドルの握り部分だけを外す。次にハンドル下のナットを外すとリング状のパッキンとパッキン受け(座金)が出てくる。これを新しいもの(パッキンと受けのセットが売ってあるはずだ)に交換し、あとは逆の手順で元に戻せば完了だ。
(c)吐水パイプの根本から水が漏れる場合
この場合は、パイプと本体をつなぐナット内にあるUパッキン(溝入りのパッキン)の劣化が考えられる。ナットを緩めてパイプを外し、Uパッキンを交換する。このとき、Uパッキンの向きに注意。溝のある部分を水栓本体側に向けて入れる必要がある。あとはパイプを元に戻せば完了だ。
(d)水栓と壁の間から水が漏れる場合
この場合は、水栓の根本に巻き付けてあるシールテープ(防水テープ)の劣化が考えられる。まずは水栓本体を外す。モンキーレンチ等で外せるが、無理に力をかけ過ぎると壁の中の給水管を破損してしまう恐れがあるので注意が必要だ。
「水栓取り外しレンチ」という専用工具ならば取り外しやすく、余計な力もかかりづらい。使いどころの限られる工具だが、給水管の破損リスクを考えたら安い投資だろう。
水栓を取り外したら、水栓や配管に残ったシールテープやゴミを綺麗に取り除く。新しいシールテープを水栓の溝に沿わせて、テープにややテンションを掛けながら7回前後巻きつける。水栓を左手、テープを右手に持って時計回りに引っ張りながら巻けば間違いない。巻き終わったらテープを溝に指で軽く馴染ませて、水栓を元通りに取り付ければ完了だ。
水栓を戻す時に勢い余って回しすぎて、水栓の向きが斜めになってしまうことがあるかも知れないが、この時に反対側に回すことはNGだ。中でテープの隙間が生じ、結局また水漏れしかねない。事前に何回転で取り付けられるか把握しておくこと、もし回し過ぎた際はシールテープ巻きからやり直すことが大切だ。
(e)水栓とフレキ管・給水管の接続部から水が漏れる場合
これは台付きの水栓で管と水栓を袋ナットで締めて接続するタイプの解説だ。まずは袋ナットを外すのだが、シンク下などの狭いスペースでモンキーレンチ等が使えない場合がある。そんな時は「立カラン締め」という工具を使うとよい。袋ナットを外したら中からパッキンが出てくる。これを新しいものに替えてやれば、水漏れは解消できるはずだ。
余談だが、意外にありがちなのが、水漏れかと思ったらただナットが緩んでいただけだった、というパターン。まずは落ち着いてナットを締め直して様子を見てみよう。
DIY初心者にとっては水のトラブル=業者の出番、と思いがちかもしれないが、少しの材料費とほんのひと手間で修繕できる場合も多いので、ぜひ積極的にチャレンジしていただきたい。