手先の器用さに自信のない人でもカンタンに、コスパ良くできるDIYリフォームの技術を伝える「不動産投資初心者のためのDIYリペア講座」シリーズ。
第7回目は「コーキング」をテーマにお届けする。コーキングとは、建物の気密性や防水性を確保するために隙間をコーキング材という目地材で埋めることを指す。外壁の継ぎ目や、キッチン・浴室などの水回りで主に用いられる。「シーリング」「シーリング材」という言葉で表されることもあるが、同義語と捉えて差し支えない。
細かい部分ながら意外と目立つコーキング
汚れたコーキングは清潔感を損ない、大きな減点対象に
築古物件購入時や退去後の空室で、キッチン、洗面台と壁の隙間や、浴室の浴槽やパネルの隙間の古いコーキングに黄ばみ、黒カビが生じていたり、コーキングが切れて隙間が生じていたりすることはよくあるだろう。
「築古」なので設備や内装が多少古いのは仕方ないとしても、「不衛生」なのはご法度だ。選ばれない理由の「決め手」になりうる。ほんの継ぎ目の細かい部分ではあるが、これが存外目立つものだ。古いコーキングでは防水性も損なわれ、建物の内側に水が侵入することにより建物の劣化も早めてしまう。
新しいコーキングは清潔感をアピールしてくれる
目立つということは逆に、真っ白なコーキングが綺麗に打ってあれば、内見者に対して清潔感を訴求できるということでもある。たとえ築古物件であっても、古っぽい印象がいくらか緩和されるはずだ。つまり費用対効果の高いDIYリペアなのだ。
それでは、初心者でもできる室内の「コーキング打ち替え」について順を追って解説する。まずは古いコーキングの除去からだ。
古いコーキングの両側からカッターナイフで刃を入れてコーキングを接着面から剥がしていく。壁紙や下地を切らないように壁面に対してまっすぐ刃を入れる必要があるため、刃は長めに出して、軽くしならせるようにしてに沿わせるとよい。
ただ、実際のところ初心者にとっては力加減などが難しいので、専用のコーキングカッターを使うのがおすすめだ。コーキングをすくうように走らせるだけで簡単に除去することができる。多少残ったコーキングはスクレーパー(ヘラ)で削ぎ取ってやればよい。
古いコーキングや削りカスを綺麗に掃除したら、施工箇所の両脇にマスキングテープで養生を行う。面倒なひと手間ではあるが、綺麗な直線を出すため、汚れ防止のために丁寧に実施しよう。
次は新しいコーキングの打設だ。コーキング材と専用のコーキングガンという工具を用いる。コーキング材はたくさんの種類があるので迷いどころだが、屋内の水回りには防カビ剤入りの「シリコンシーラント」とよばれる商品を選べば間違いない。色は白以外にもアイボリー、グレーやクリアなどバリエーションがあるので施工箇所によって使い分けよう。
コーキング材の蓋シールに穴を開け、ノズルを施工したいコーキングの幅に応じて斜めにカットして、コーキングガンに取り付けてからノズル面を施工箇所に押し当て、レバーを握りながらガンを動かして隙間に材を充填していく。レバーを握る力で材の出る量が変わるので、一定の力を保ちながら打つ必要がある。
よくあるのが、ノズルのカットが小さすぎたり、力加減でちょうどの量の材をジャストで出そうとしすぎて、充填量が少なくなり途中でコーキングが切れてしまうこと。はみ出し防止のために事前にマスキングテープを貼っていることだし、十分な量を充填することを意識しよう。
仕上がりの美しさを左右する大事な最後の仕上げ
丁寧かつスピーディを心がけて
コーキング材を打ったら、いよいよ最後の仕上げだ。コーキング用のヘラ、もしくは指の腹で余計なコーキングをぬぐって取り除き、平らに均す。ヘラやるか指でやるかは両方試してみて、やりやすい方で構わない。
いかに綺麗に仕上げるかについては奥が深い領域なので説明し尽くせないが、コツのひとつとして言えるのが、均しは途中で止めず極力一気にやること。途中で止めたり離したりしてしまうとそこで段差が出来てしまうので美しい仕上がりにならない。
あとは作業ごとにヘラや指のコーキングをウエスできちんとぬぐうこと、指でやる場合は中性洗剤を指につけてコーキングのベタつきを抑えること等は初心者でも気をつけられるポイントだ。
最後にマスキングテープを剥がせば完成だが、まっすぐ持ち上げるのでなく、手前に引っ張るように剥がすのがポイントだ。コーキングとテープの切れがよくなる。なおコーキングが乾くときれいに均せないし、テープとくっついて剥がす際にコーキングを持っていってしまうので、放置は厳禁。一度コーキングを打ったらすみやかに均して、テープを剥ぐところまでやっておこう。
なお剥がすときにテープに付着したコーキング材が壁や服などあちこちにくっついて汚れてしまう、というのは初心者あるあるだ。余計な掃除の手間が増えるだけなので、雑にビーっと剥がすのでなく、ダンボール紙片などにテープをグルグルと巻きつけながら剥がすのがよい。
いかがだっただろうか。多少の慣れは必要だが、作業自体はいたってシンプルで、道具をイチから揃えても2、3千円程度で済むのでお手軽だ。水回りの印象が良くなると入居の決まりやすさもアップするはずなので、ぜひチャレンジしてみていただきたい。