前回に引き続き、極東の船長さんにお話を伺います。最終回の今日は、いよいよ、船長が今から不動産投資を始めるならどうするか?「強くてニューゲーム」の取材をさせていただきます。
マッツン
前回に引き続き、極東の船長に強くてニューゲームの設定で質問をさせてもらいます!引き続き、よろしくお願いします。
5050(ゴーさん。)
それではまず初めに、ニューゲームの前提条件を教えてください。
船長
はい。37歳、北海道根室市在住、既婚子供二人、年収は600万円、貯金は3,500万円です。時代は現在。船の事故をきっかけに得た3,500万円の想定です。
5050(ゴーさん。)
では最初の質問から。今と同じエリアで投資しますか?
船長
家族を伴って移動できるかによって変わるんだよな。根室に住みながら周辺でやるか、札幌に引っ越しをしてしまうか。根室だとやっぱり銀行がないので、妻を代表にして札幌に会社を作るかな。
5050(ゴーさん。)
札幌に会社を作ると不動産投資を扱う金融機関も多いし、奥様が代表であることで、公庫等の女性優遇措置も受けられそうですね。
船長
そう。そもそも、根室で自分が働いている会社に関しては、住民票の場所を変えられないということもあるじゃない。だから、縛りのない妻を代表にして、札幌にワンルームを買って法人を登記して、小さく不動産の実績を積むだろうな。
5050(ゴーさん。)
小さい物件というのは、いくら位のもののイメージですか?3,500万円持っているのですよね。
船長
今の目線だと、木造築20年、利回り12%、5,000万円位の物件を自己資金500万円ほど入れて買える物件を買うかな。信組さんを使って20年から30年の融資を組める物件を複数買っていく戦略だな。
マッツン
東京・横浜だとそういった物件はないですね。
船長
札幌ではなくはないよ。俺、今度決済するやつ築34年で20年ローンついたからな。
5050(ゴーさん。)
次に、本業と居住地について。根室市在住の個人事業主で、主な業務は電気メーターの委託計測員とのことでした。仕事はこのまま続けますか?
船長
一旦、仕事は続けるけど、不動産に向けた転職も考えます。根室に住んだまま、俺の給料と、妻を教育して、妻代表の不動産法人の両輪で進めて、3期、4期と重ねていき、1,000万円のキャッシュフローを作れたら辞めるかな。
拡大だけを考えた場合、札幌に転居したほうが有利であることは間違いないと思っているけど、妻や子供の生活を変えることになるので、それは難しいかなと。
マッツン
ワタシと似ていますね!ワタシは結局法人8期目で辞めました。結構現金を入れて買ってしまったので遅くなってしまったかな。
船長
現金で買っちゃうというのも一つの手だけど、それだと時間がかかる。創業者融資のワンチャンスを狙うのと、保証協会付の融資を使う。保証協会付なら3,000万円から5,000万円を借りる事が出来るんじゃないかな。
5050(ゴーさん。)
小ぶりな物件を買い進めて行くのですね。
船長
5年位、3,000万円~7,000万円の物件を自己資金を抑えながら買うな。自己資金は10%ぐらいで収まるような買い方だな。
具体的に言うと築古戸建てから始め、築古中古アパートを3,500万円の自己資金を使い政策金融公庫、信金や信組から保証協会付で借りて中古不動産を買う。
自己資金10%でCCRが20%程度の物件を5年程度保有しキャッシュフローが年間500万円から800万円程度まで増えた段階で再投資する、というのを5年間繰り返す。
トータル期間では10年くらいかな。その後は札幌中心部に資産価値のある不動産をコツコツと買うかな。
5050(ゴーさん。)
3,500万円の自己資金だったら、3億5千万円まで買えるような買い方をするという事ですね。ファイナンスを引いて、キャッシュフローをひねり出すというのが肝心ですね。
船長
コロナ前までは、CCR30%以下の投資はしなかったからね。コロナでゲームチェンジになっちゃたんで、不動産が上がってきたからさ。ニューゲームでは20%以上かな。
※CCRは「Cash on Cash Return」の略語で「自己資本収益率」を意味しています。投下した自己資本に対してキャッシュフローがどれだけ出ているか知りたい時にCCRという指標を使います。
例:300万円の自己資金で、収入から経費(ローン返済を含む)を引いたCFが年間60万円ならCCRは20%
マッツン
キャッシュフロー1,000万円到達というのは、5年で見てますか?
船長
5年位だな。実際は37歳で今の知識と3,500万円あったら、今の市況からでも30年あれば100億円くらいまで借りれるなと思うよw。はっきり言って何とでもなるさw ただし、これは絶対にあり得ない設定なのでそこは勘違いしないでくださいね。
マッツン
船長の知識を得たいですw
■自己資金が少ない会社員はどう動くのが良いのか?
5050(ゴーさん。)
このコラムを読んでいる方の中にも、実際300万円、500万円を持っていない方も多いと思うので教えてもらえませんか。
船長
わかりました。まず前提としてサラリーマンは、お金を残すのが大変だという事。
5050(ゴーさん。)
収入が少ないという意味ですか?
船長
そうではなく、サラリーマンっていうのは仮に何千万稼いでいても結局は最初に引かれる税金や社会保険料のお金が大きい。
例えば、一例だけど仮に個人事業主とサラリーマンが年収として同額をもらっても、税法的には個人事業主である委託員はガソリンとか電話代金とか仕事で使う車両代金を減価償却することで経費計上できる。
そうすると、確定申告で支払いの税金が減るわけで、サラリーマンは確定申告前に毎月税金や住民税を源泉徴収されてしまう。サラリーマンは通勤手当は貰えてもそれ以上にガソリン代がかかっても経費計上ができないよね?
社会保険料を考えても、手残りとか、税金のこと考えたら、同じ年収であれば資金効率では個人事業主業主の方が有利だもん。ただし、前提として平均的サラリーマンと同じ年収を個人事業主が稼ぐのは実際には大変だけどね。
マッツン
社会的保障が少ない代わりに、コントロールが出来る範囲が広いという事ですね。
船長
サラリーマンは、お金のコントロールが出来ないという意味では、マネーリテラシーを勉強するチャンスがないんだよ。日本の源泉徴収制度はサラリーマンをお金のリテラシーから隔離するための政策だと思っているよ(笑)
家庭持ちのサラリーマンで月3万円の小遣いなんてまだ裕福な方だろう。だから、お金のコントロールが出来る状態っていうのを最初にマスターしないとお金が増えていかない。
マッツン
ワタシの、元同僚にも沢山いましたね。月3万円のお小遣いでやっている方。だけど貯金もたまっていない。お金をコントロールするという教育を受けていないですよね。
船長
一番てっとり早くそれを学ぶには、物件を持てという事だよな。そうすると自分で確定申告をするし、それでお金を増やすための秘密を知るきっかけになるはずだと思うんだよね。
自己資金300万円位という読者の方が多いと思うので、自己資金内で築古戸建てを買うとか、他人の部屋を賃貸して民泊を運営したりするのを経験して、種銭を貯めながら、同時に確定申告をふくめ不動産賃貸業のいろはを一通り学ぶというのが良いんじゃないですかね。
5050(ゴーさん。)
小さく始めるという事ですね。
船長
その通り!!昔も今もビジネスの変わらぬ鉄則あるとすれば、「早く小さく始める」ことが1番の肝だと思うよ。早く始めて小さな失敗からたくさんの事を学び、また次にチャレンジし失敗から学び続ける。オイラは今もそれを実践し継続している。
5050(ゴーさん。)&マッツン
長い時間ありがとうございました。今の市況に戻っても、現在の知識があれば何とでもなるというのが、印象的でした。
■まとめ
<不動産投資を始めた時の状況>
37才 会社員(メインの仕事はあるが、他に複数の仕事をかけ持つ自立した業務委託社員であり個人事業主) 北海道根室市在住 既婚 子供二人 貯金3500万円
<現在の所有物件>
40棟1,000室総投資額は130億円、年間家賃収入は9億5000万円、税引き前CFは約3億円
<船長が今の市況で1から始めるなら>
・根室市に住みながら札幌市に妻法人を作り投資していく
・仕事については一旦、続けるが、不動産の為の転職を考える
・築古戸建てから始め、築古中古アパートを3,500万円の自己資金を使い政策金融公庫、信金や信組から保証協会付で借りて中古不動産を買う
・自己資金10%でCCRが20%程度の物件を5年程度保有しキャッシュフローが年間500万円から800万円程度まで増えた段階で再投資する、というのを5年間繰り返す。トータル期間では10年くらい
・その後は札幌中心部に資産価値のある不動産をコツコツと買う
・年間キャッシュフロー1,000万円を達成した後は専業として迅速に動ける体制で投資を続けていく。
<(読者の方向けに)自己資金が300万円程度のサラリーマンが今から始めるなら>
・サラリーマン(正社員)ではお金のコントロールができないという意味で実体験を通じた学びの機会がないことを意識する
・そこで早めに小さめの物件を取得し、戸建や民泊を運営しながら、学びを深めつつ種銭をためる。
・その経験や積極的な学びを通じてお金のコントロール、物件の運営スキルなどの関連知識を深めてからアパート等への投資も開始する。
編集後記
ついに憧れの極東の船長様にインタビューすることがかないました。お話をしていて気づかされたのは、圧倒的なマネーリテラシーです。不動産に限らず、歴史や経済の話がどんどん出てきます。
多額の資産額に目が行きがちですが、20代の頃から漁師の世界で「経営者」として生きてきたことが、学びの習慣も含めてその後の飛躍の原点であると感じました。インタビュー中にも、「お金をコントロールする力」をサラリーマンでは学ぶことができないということを指摘されています。
この点について、生育環境、特に両親や近親の親戚縁者から学ぶことができない場合は自ら気づき、実体験を通じて学ぶ必要があるということかと思いました。これは私も自分自身に強く感じたことと同じでした。極東の船長様、ありがとうございました。(5050(ゴーさん。))