不動産投資家の皆様の中では、個人事業主や法人として事業を行っている方も多いだろう。
今回は、個人事業主を含む小規模事業者が、持続的な経営に向けた計画を立て、販路拡大や生産性向上に取り組むための経費の一部を補助するための補助金である「小規模事業持続化補助金」(以下、「当該補助金」という。)をご紹介する。
当該補助金は、全国の商工会議所や商工会が窓口になっている制度であるが、商工会議所や商工会の会員でなくても補助を受けられる点について、まずご安心頂きたい。
当該補助金の補助対象となるのは、以下の10通りの経費である(第15回公募要領より)。
本補助金の目的が、小規模事業者の販路拡大や生産性向上とされているため、単なる物件の取得や退去が出た場合の原状回復リフォームなどは対象外となることは留意して欲しい。
そのうえで、不動産投資家が利用できると考えられる使途について太字・下線で表現している(太字・下線となっていない項目も申請方法によっては、対象となる可能性がある点はご注意頂きたい)。
また、補助対象金額は、類型によるが、50万円~250万円となっている(第15回公募の場合)。
【対象となる経費】
1.機械装置等費
補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費
→テナントがなかなか入らない店舗などをレンタルスペース等の他事業で活用するために必要な機械装置購入費用などが該当
2.広報費
パンフレット・ポスター・チラシ等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費
→ 見栄えの良い写真をプロのカメラマンに撮ってもらい、他物件と差別化するマイソクなどを作成する費用などが該当
3.ウェブサイト関連費
販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト、システム等の開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費
→ 入居者募集のため、物件のホームページを作成し、運用する費用などが該当
4. 展示会等出展費
新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費
5.旅費
補助事業計画に基づく販路開拓等を行うための旅費
6.新商品開発費
新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費
7.資料購入費
補助事業遂行に必要不可欠な図書等を購入するために支払われる経費
→ 入居率を上げるための方法などが記載されている書籍等の購入費用などが該当
8.借料
補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費
→ 物件を活用するため、レンタルスペースなどを運営している場合、利用率拡大のために必要な機器・設備のリースレンタル費用などが該当
9.設備処分費
販路開拓の取組を行うための作業スペースを拡大する等の目的で、当該事業者自身が所有する死蔵の設備機器等を廃棄・処分する、または借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復するの に必要な経費
10.委託・外注費
上記1から9に該当しない経費であって、補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費(自ら実行することが困難な業務に限る)
→空店舗からレンタルスペースへ改装するための費用などが該当
当該補助金は、現在、第15回公募が締め切られているためすぐに申請することは出来ないが、2024年5月初旬に第16回公募が開始することが見込まれているため、自身が事業を行っている地域の商工会議所や商工会のページをチェックすることをお勧めする。
また、当該補助金の申請には、事業計画書の作成などが必要となる。
公募が開始されるまでの間、自身の事業計画書などの作成を行っておくことも併せてお勧めしたい。
なお、事業計画書の作成などは補助金申請のサポート業者に任せることも出来るが、多額の手数料を取る業者も居るため信頼できるサポート業者に依頼するよう留意して欲しい。
執筆:
(あきもと よしのぶ)