国立大学法人九州大学(九州大学)と独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)はこのほど、昨年から公募していた九大箱崎キャンパス跡地(福岡市東区)の大規模再開発を担う優先交渉権者に、住友商事とJR九州、西日本鉄道、西部ガス、西日本新聞など8社が参加する企業グループが決定したと発表した。
高速通信やAIを活用したオフィスや住宅を備える次世代型の「スマートシティ」を整備する方針だ。
総事業費は1,000億円規模!?国内最大規模の再開発に熱い視線
再開発の対象区域は60年の一般定期借地を含む約28・5ヘクタールで、譲渡金額は371億7800万円。都市部としては国内最大規模の事業規模で、総事業費は1,000億円規模になるという見方もある。来年度以降に着工し、2030年ごろには新しい街が姿を表す見込み。
対象区域のすぐそばには既存の福岡市地下鉄箱崎九大前駅や西鉄貝塚駅に加えて、2027年にJR鹿児島本線の新駅が開業する予定。博多駅や天神までアクセス抜群の立地での大型開発に、全国から注目が集まる。
優先交渉権者に決定した企業グループが提出した企画提案によると、新しい街の仮名称は「HAKOZAKI GreenInnovation Campus」。
九州大学の歴史を継承したうえで、高質 でみどり豊かなまちづくりを進め、新たな価値を提案し、新産業を創造・発信していくとともに、環 境先進都市として世界を牽引する、未来のまちづくりを実現する
と謳っている。
AI活用のスマートシティでは自動運転社会の構想も
スマートシティ構想の具体例として
・エリア全体を見守るスマートマネジメントセンター
・AI 見守りカメラの設置
・多様なシェア型パーソナルモビリティ(EVサイクル、EVスクーター等)
・エリア内の様々なサービス認証・決済を共通の生体認証基盤で行えるまちまるごと生体認証サービス
・歩行者センサーを活用した歩車混在型の新しい自動運転社会への挑戦
などが挙げられた。
福岡市が力を入れている海外企業の誘致を加速させるため、新しいイノベーション拠点も設置予定。地元・福岡や九州の豊かな食をテーマにした日本最大級の食のエンターテイメント交流拠点や多世代交流型福祉拠点に加え、インターナショナルスクール誘致などで教育機能の充実も図る。
居住面では、分譲住宅2,000 戸、単身者向け賃貸住宅、高齢者向け住宅、共同社員寮、学生寮を想定。全面開業すれば、福岡市内屈指の住宅街になるだろう。
福岡市ではこれまで、天神ビッグバンや博多コネクテッド、地下鉄七隈線の開業など博多駅の西側エリアばかりが注目されてきた。市内の北東に位置する今回の再開発エリアについて、地元の不動産関係者は、「東区全体のエリア価値、不動産価値の向上につながりそうだ」と期待を込めていた。
健美家編集部(協力:
(おおさきりょうこ))