2021年9月に発表された2021年度地価調査の結果を不動産プラットフォームViilaが一目で分かるマップにしてリリースした。
国土交通省のホームページで地価公示・都道府県地価調査を閲覧しようとすると都道府県、市区町村と順に選択後に各調査個所が単体が表示されるようになっており、地域を網羅的に見る、地域内での価格変動を見るのは難しかった。それを非常に簡単な操作で分かりやすく表示しているのがこの地図だ。
たとえば長野県を表示してみると基準となる地点の数が青い丸で示され、最も高い上昇率、下落率を示した地点、最も高い、安い地点が記載されている。ここからクリックして地域を絞っていくとどこが上昇したか、下落したかが値上がりは緑、値下がりは赤で示される。
実際にやってみると軽井沢周辺に最も上昇した地点があり、少しずつアップしていくと最も高い13.56%の上昇率を示した地点がどこかが見えてくる。周辺にはそれ以外にも10%、5%、3%などと上昇した地点があり、軽井沢はかなり上がっていることが分かる。
このマップを作製した株式会社Oltoは現状では軽井沢の物件を中心に扱っており、コロナ禍にあってリゾート地が人気を集め、値上がりしていることを指摘、長野県では軽井沢だが北海道では倶知安町、山梨県では富士河口湖町が大幅に値上がりしているという。
そこで北海道を見てみると同社が指摘している羊蹄山周辺のニセコ、倶知安辺りに加え、札幌市周辺でも広く値上がりしていることが分かる。お隣の小樽市が全体に低迷しているのに比べると差は大きい。
他府県もいくつか見てみたが、同じ県内、府内での地域による上昇、下落がざっくり分かるのが面白いところ。たとえば滋賀県。同県は琵琶湖を囲んでいくつかのエリアに分かれているのだが、そのうちで現在上昇が明確なのは草津市・栗東市・守山市・野洲市のある湖南エリア。
その隣の近江八幡市・東近江市・日野町・竜王町など東近江エリアでも上昇している地域はあるものの、地点はかなり減って来る。現在人が動き、取引が活発なのは湖南エリアが中心ということだろう。
滋賀県内で湖南エリアよりも関西圏中心部に近い大津エリアでは上昇している地点が多いものの、山側では下落地点も多い。傾斜地が敬遠される傾向があるのだろうか。
と考えて、次に兵庫県を見てみると山中の住宅地では下落している地点がかなりある。やはり、中心地から遠い、住宅団地はあまり動いていないのだろう。
だが、兵庫県ではそれ以上に神戸市中心部の下落が気になるところ。トアロード、フラワーロードなどという繁華なエリアで7~8%下落している地点があるのだ。商業地だけにこのところの営業不振が響いたと思われるが、このあたりの動向次第では神戸市の財政その他にも影響を及ぼしかねない。
このように、この地図、詳細に見て行くと地域の状況その他が推察でき、非常に面白い。ぜひ、あちこちの都道府県をチェック、その地域で不動産がどう動いているかを妄想して見て欲しい。
健美家編集部(協力:中川寛子)